コロナウイルスはブライダル業界に大きなダメージを与えています。
私たちはこの先が不透明なままでも、これから結婚式を考える人々にむけて安心して結婚式を行う方法を模索しなければなりません。
今回は、コロナ禍でも安心して結婚式を挙げる方法について事業者目線でまとめました。

1.コロナ対策のガイドライン

コロナ対策

令和2年初頭、急速に蔓延したコロナウイルスは日本の経済を停滞させ、多くの事業者が資金繰りに苦しみ「コロナ禍」という言葉を生み出しました。その中で、厚生労働省は感染拡大を防ぐために「新型コロナウイルスの感染対策の基本方針」のガイドラインを発表しました。

新しい生活様式を実践することで私たちが感染しない、させないために必要な項目は大きく分けて4つです。

「3つの密」を避ける

地下や、窓がなく空気の通りが悪い箇所(密閉)、混雑しており人と人との距離が近く(密集)、手が届く範囲で会話している(密接)等の条件はコロナウイルスがクラスターで発生する要因の一つとなっています。
これら「3つの密」の条件が重なる場所や施設にはなるべく近づかずかないようにしましょう。

また、施設の運営者は3つの密が重ならないように対策を取ることが求められます。

人と人との距離の確保

ソーシャルディスタンス(社会的距離)という言葉が生まれたように、コロナウイルスの対策の一つとして人と人との距離を離すことで、飛沫感染や接触感染を抑制することが求められます。
これは、個人個人が意識して距離を開けることはもちろん、施設の運営者であればテーブル、椅子の感覚を開けるほか、距離の目印を立てるなどして利用者にソーシャルディスタンスを意識させる必要があります。

なお、距離の目安は厚生労働省から2m(最低1m)が水準とされています。

マスクの着用

マスクの着用は他人に感染させないための対策です。一方でマスクは蒸れやすく酸欠になる恐れもあります。空調の効いた室内で行うデスクワークであればマスクをしていても体調不良になることは少ないかもしれません。
しかし、室内外を多く動き回る場合や運動量が多い仕事ではマスクがコロナとは別の体調不良(熱中症等)の原因になることは十分に考えられます。

会社としてマスクの着用にはルールを設け、場合によってはフェイスシールドなどで代用しましょう。

また、コロナだけでなく夏場の季節の体調不良にも知識を付け、十分に気をつけましょう。

手洗い、消毒

多くの人が出入りする施設での消毒作業はもちろん、従業員の出勤時も手洗い、消毒もしっかりと行いましょう。
施設でコロナウイルスを蔓延させないことは勿論、外からウイルスを持ち込まないことも大切です。
従業員の手洗い、消毒状況についてはルールを作り、管理シートで情報を統一化することで万が一のクラスター発生時に、迅速に対応することができます。

これらの基本的対策は個人個人が感染を予防するためだけではなく、感染者が発生してしまった場合にクラスターの発生を抑える目的があります。

結婚式で注意すべきポイント

三密対策

多くの人が集まる結婚式では新郎新婦だけでなく、そのご家族やゲスト、そこで働く従業員や出入りする提携業者など、年齢性別多種多様な人々の健康管理と感染対策が求められます。
しかし、共通して意識すべきポイントは以下の通りです。

施設の換気、消毒

定期的な消毒、換気、ソーシャルディスタンスを意識した導線の確保は式場運営における対策の必須項目です。
挙式披露宴でのゲスト同士の席間隔やこまめな消毒は勿論、感染した際に重篤しやすい高齢者のゲストには十分な配慮が必要です。

高齢者に対しては席を他のゲストよりも大きく離すなど、通常の席次とは違う形での提案や、特別な配慮が必要となります。

料理の提供

料理を提供する際は、スタッフのマスク、手袋着用は必須項目です。また、料理の提供形式もブュッフェなどよりも小皿として提供する形が望ましいです。
ブュッフェ形式を崩せない場合や、お客様からの要望が強い場合は食事の取り分けはスタッフが行い、不特定多数が食事に触らない、近づかないように対応する必要があります。

しかしながら、スタッフの人員不足などで対応が難しい場合には定期的な料理、トング類の交換、消毒などを行うほかトングに触るゲストには徹底して、手袋、マスクの着用を促す必要があります。

スタッフの体調管理

出勤時のスタッフの検温や体調に関しては必ず、記録として残しましょう。
一般的に起床時の体温や、喉の痛み、咳、怠さ、頭痛、味覚異常などは必ず出勤時に確認すると良いでしょう。

また、チェックシートで管理することで異常を察知するだけでなくスタッフから感染者が現れた際に感染者のシフトと合わせて確認することで感染疑いのあるスタッフを見極められ、クラスターを早期に見つけることができます。

プランナー等接客を伴うスタッフが感染疑いになった場合には、体調に異変がなくとも対面での接客は控え、オンラインでの接客を推奨しましょう。

その他、注意すべきこと

従業員においては、比較的簡単に体調の管理やチェックを行うことができます。しかし、一方で挙式披露宴に当日参加するゲストについては体調の状態を前もって把握するのは困難です。
当日、来館時の検温で発熱が確認され挙式披露宴への参列を前触れもなくご遠慮いただくとなると残念な気持ちはより一層強まります。

発熱者や体調不良者をご案内することはできませんが、そのような事態にも対応できるようにゲストには前もって以下の参加条件等を確認、伝えるようにしましょう。

  • 過去14日以内に政府から入国制限、入国後 の観察期間を必要とされている国、地域等への渡航並びに当該在住者との濃厚接触がある場合
  • 発熱や風邪の症状のある場合
  • 来館時、体調不良や異常がみられる場合、通常とは異なる対応(披露宴会場とは別部屋への案内等)が発生すること

これらは新郎新婦様を通して行う方法が効率的ですが、参列条件の確認事項などは各会場ごとに制定しPDFや紙媒体を新郎新婦様にお渡しするようにしましょう。

プラスして行いたいコロナ対策

基本的な対策ができたら、プラスして下記の項目を検討してみましょう。

新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)

厚生労働省が提供するアプリCOCOAです。2020/08月時点で1200万人以上がダウンロードしているアプリであり、コロナウイルス陽性者と接触した可能性がある場合に通知が届くシステムとなっています。

なるべく従業員には利用を促し、社内の体調管理と合わせてコロナウイルスの早期発見に役立てましょう。

ダウンロード先:
GooglePlay
Android端末の方はこちら

App Store 
iPhone,iPadの方はこちら

時差出勤

都内など、通勤時に通勤ラッシュと重なる地域では時差出勤が有効です。電車やバスなど不特定多数の人が密集密接する空間では感染リスクも高くなります。そのようなリスクを軽減するためにも1〜2時間の時差出勤を促す企業が多くなりました。

一方で、勤務時間が変更になることで就業規則を変更、追記する必要も出てきます。また、営業時間の変更によりお客様との連絡時間も変わるので、時差出勤を導入する際には社内は勿論、社外にもしっかりとその旨を通知しましょう。

POPやチラシの配布

対策していることを目に見える形で、お客様に通知することも大切です。東京都では独自のガイドラインをもとに対策に取り組んでいる事業者にむけて「感染防止宣言ステッカー」を配布しています。

このように、取り組みを見える化することでお客様に安全を伝えます。ステッカーやPOPは独自に作成しても問題ありませんが、著作権には注意しましょう。インターネットで見つけた画像を勝手に印刷したり、使用すると著作権違反になることがあります。

厚生労働省のサイトでは感染予防に使えるピクトグラムを配布しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00094.html

まとめ

結婚式におけるコロナ対策は通常のレストランや宿泊施設等のガイドラインだけでは収まりきらないものとなります。
新郎新婦様への感染は勿論、ご両親、ゲスト、従業員、出入り業者まで老若団女性様々な人々が結婚式当日に一つの会場に集まります。
しっかりとした対策は目の前にいるお客様だけでなく、今後のコロナ時代での安心安全に長く影響します。

相次ぐ、延期やキャンセルで資金の問題はありますが、必要な箇所にはしっかりと投資をしコロナ禍を乗り切りましょう。